能瓦で葺いた和の家 #1



茅ヶ崎駅からすこし歩いたふるい分譲地に設計した夫婦 ふたりの小さな家。1階は和 室が2部屋、1つは寝室に、も う1つは子供家族が帰郷した ときのために襖で仕切れ、ト イレと浴室+脱衣室はどちら の和室からも入れるように入 り口を2つ。2階はリビング+ ダイニング+キッチン+パン トリーのワンルーム、これに つなげて6畳大の大きなバル コニー。バルコニーはアルミ サッシをフルオープンになる ように改造、天幕を付けて外 と内を一体につなげました。 建て替えであることから、町 並みに違和感がないように同 じ配置に、高さを抑え屋根は 以前と同じように瓦葺きです。 違うのは群馬県で使われていた 地瓦で、復刻された「能瓦」を つかったこと。建て主さんと 群馬の工場まで行って選択し たこだわりの瓦です。

新しい家以外はすべて建て替え前のまま同じ、植栽を残し生け垣や塀、駐車スペースのゲートも再利用。「前から建っていたかのよう地域に馴染む家をつくりたい。」の家が出来ました。
「能瓦」の屋根、左官屋さんが仕上げた外壁、こだわりがぎゅっと詰まった家です。

これが「能瓦」です。背骨のようにきりっと通った上瓦と雨をすくう下瓦の2つの瓦で組み合わせたみごとな造形といぶし色の美しさ。富岡製紙工場の屋根瓦を焼くために集まった瓦職人の子孫が「屋根舞台」を結成して復活させた群馬県の名品です。

「能瓦」に負けないように樋は銅板で制作、樋受けは田舎くさくならないようにシンプルなラッパ型に板金屋さんが手作りしました。柔らかくやさしい風合いの杉の破風板が「日本の家」を表現していると思います。

1つ目の和室、寝室として使われています。大分産の琉球表を使った本物の琉球畳、白い漆喰、シナベニヤを白く薄化粧した建具、そして障子のシンプルな組み合わせが潔いです。

2つ目の和室は掘りごたつをつくって客間の装いです。こたつは栗材で古市家具工房の古市さんがデザイン・制作したものです。こたつを畳むと掘りこたつの中に仕舞えて、畳をのせるとフラットになり寝室として使えるふた役の和室です。

2階のリビング+ダイニング+キッチン。テーブルは栗材をつかって古市さんがデザイン・制作、椅子は奥村昭雄さんの工房がつくった「はんぺんチェアー」です。小柄な日本人にぴったりのシートハイ(座面の高さ)が座り心地抜群。

とてもコンパクトな間取りに夫婦と来客の居場所をつくり無駄のない家が出来ました。ベンチの後ろとバルコニーの障子とサッシはフルオープンに仕舞われ、木製の網戸を引き出すと風の通り抜け明るく景色のいい快適な場になります。

腰にピタリとフィットする絶妙にカーブする背板と取付高さ(職人のこだわりの技!)。
ベンチの背や和室の背もたれ、ベッドのヘッドボードに応用できます。古市健さん作。

リビングとフラットにつながるバルコニーはスチールで製作してデッキ材を張りました。バルコニーはタープを張れるように手すりの2カ所を2mほどに、外壁にステンレスのフックを付けました。

建物データ

所在地 神奈川県茅ヶ崎市
用途 専用住宅
構造 木造在来工法2階建て+ロフト
建築面積 51.97㎡
延床面積 101.61㎡
竣工 2004年
設計者 森ヒロシ建築設計所
施工 大同工業(株)湘南本店
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